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本当の「出汁」の味を知っているか


ゆっくり言葉を探しながら話す。和食料理店の大将というイメージとは程遠い。名張市百合が丘に和食店を構える「和Annあん藤」の店主・安藤弘和さんは、「本当の出汁の味を知っている子どもたちってどれだけいるんだろう。」と疑問を投げかける。
両親が伝えた
プロの味
 安藤さんは、兵庫県神戸市出身。十歳で名張市へ。ご両親が西原町で営む「うどん・そば あん藤」は、三十年以上地域に愛される名店だ。懐かしくも安心する味。ご両親はどんなに忙しくても食事には手を抜かなかった。彼のルーツはこの両親の作る出汁と愛情あふれる料理にある。
「仕事に子育てに忙しいお母さんが多い中、丁寧に出汁をとってそれを使って和食を作ることは大変。だけど、和食は日本独自の文化。日本の風土が育てた素材を美味しくするのは、日本の食材から作った調味料。そして、地元の食材を美味しく食べるにも日本人にはやっぱり和食が一番合っていると思う。」と料理人の顔で語る。

「命をいただくこと」と和食文化の伝承
 「名張にはおいしい食材がたくさんある。食材を丁寧に調理して、おいしくいただく。これはものすごく重要なことだと思う。」彼の言う丁寧に調理するというのは、料理の腕ではない。食べてくれる相手に感謝し、命をささげてくれた食材、育ててくれた生産者に感謝し、料理できることの喜びを感じながら料理するということだ。便利になりすぎた現在に警鐘を鳴らす。「両親の愛情たっぷりの料理を味わえているのか、本当の出汁の味を知っている子どもが何人いるかと思う。」そう言って、彼は学校給食の献立表を見せてくれた。
 「半分くらい和食に変えたい。名張をはじめ伊賀地域の食材を、口にしている子どもたちは、まだまだ少ない気がします。日本人に合った味を、名張の食材を使った料理を、もっと食べてもらう機会を増やしたいと思っているだけ。」とはにかんだような笑顔で話す。妻・和美さんとの二人三脚での挑戦は始まったばかりだ。

information

日本料理 和 Annあん藤
店主:安藤弘和
〒518-0481 
名張市百合が丘西1番町144番地 
TEL:0595-48-6077
http://nagomiann.jimdo.com/

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