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父の想いと息子の想い


「お父さんの好きなところはどこですか?」関口一番に聞いてみた。
「え・・父の好きなところですか?好きなところ?」少しはにかみながら父の好きなところを必死で考えるのは、名張市赤目町でケールを育てる(有)手づくり農園代表の伊藤英次さん(44)。
父の尊敬できる
ところは
たくさんある
「じゃ、質問を変えます。お父さんの尊敬できるところはどこですか?」
「それなら、いっぱいありますよ。」と少しはにかんだような笑顔でかみしめるように話し始めた。
「まずは、商売とか度外視で必死に取り組むところ。あの人にかかったら、自然環境とか、もうボランティアの域ですから。」うれしそうに話す息子・英次さんを少し離れたところからよく似た笑顔で見つめる父・伝一さん(84)。笑った顔がとても印象的だ。
公一さんがケールを始めたのは、今から〇年前。英次さんが〇歳の頃だ。伝一さんは、健康ブーム「青汁」の原料に使われるケールを地域の方々とともに生産し、この名張の地域を日本に誇れるケールの一大産地にしようと地域の農家の方々と取り組んだ。年に二度の最盛期を迎えるケールを一時は地元赤目の農家40軒とともに生産していたそうだ。

ケールが
生活習慣病の
予防につながる
しかし、このケールが都会から今ブームになりつつある。生活習慣の乱れや外食によりバランスの良い食事を採ることが難しくなりつつある中で、健康を維持するために欠かせない様々な栄養素を効率的に摂取することができるそうだ。英次さんは、畑のケールの葉を一枚とって、「これ一枚で、一日に必要な栄養素の半分は採れますからね。特にビタミンの含有量はすごく多いし、食物繊維も多い。生活習慣病、たとえばがんとか糖尿病とか高血圧とかの予防にもいいですよ。」さらに英次さんの話は続く。
生のケールにはちみつを入れてジュースにして飲むと、最初は飲みにくいといわれるが、慣れると逆にケール以外の野菜とブレンドされている市販の青汁では物足りなく感じること。女性にはダイエットなどにも効果があるし、美肌や老化防止にとても効果があるということ。英次さんは身振り手振りを加えながらケールのことを熱く語り続けた。

話が途切れたところで、「ところで、どうしてお父さんの後を継いで農業をやろうと思ったんですか?」と聞いてみた。
「いや、僕はもともと全然農業とかやろうとか思ってたわけじゃないんですよ。でも、両親が一生懸命やってる姿を見ていて、他にやる人がいなかった。だからかな。」公一さんが息子の言い分を聞いて、恥ずかしそうに下を向いた。
「とにかく愛情を込めて作ったもの、本物をこれからも作り続けて、多くの方に食べていただきたい。農業を続けていくって本当に大変で、先が見えないところはたくさんあるんだけど、ゆくゆくはこの名張の、伊賀地域全体の農業がブランド化されて地域の農業の底上げになればと思う。そして、この高齢化社会を楽しく生き抜くための健康づくりに貢献できれば。」
たくましくなった息子の姿を笑顔で見つめながら、取材中ほとんど話さなかった父・伝一さん。
父の姿をしっかりと見つめた息子の言い分。父のDNAは、息子の壮大な夢をのせてこの地からしっかりと育まれてゆく。

information

有限会社手づくり農園
代表取締役:伊藤英次
〒518-0464 三重県名張市赤目町柏原186-3
名張オーガニックファクトリー
TEL:0595-64-8454
FAX:0595-64-5906
E-mail:reito@asint.jp

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