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お米で名張を活性化!国津農園の「箸ひかり」


 

稲穂が実る頃の気候や盆地特有の昼夜の温度差、原流域の水など、美味しいお米が育つ条件が揃っている名張。

産地品種銘柄の「米の食味ランキング」で、伊賀(名張市・伊賀市)のコシヒカリが何回も特A評価を受けているのに、名張のお米の美味しさはあまり知られていない。

「国津農園」の橋本裕徳さんは、そんな名張のお米をPRしようと取り組んでいる。

 

 

名張のお米の美味しさを知ってほしい

 

美味しいコシヒカリと聞いたら多くの人が新潟産や魚沼産と答えるのではないだろうか。
元々は役所勤めで兼業農家だった橋本さんは、仕事で農家さんとの関わりや、地場産品のPR活動をするなかで「名張市にはこんなにも良い地場産品や農作物があるのに全国的に知名度が低い。」と感じていたそう。その為に地域全体で、米の食味ランキングでの特Aを目指すなど、いろいろな取り組みを提案し、実行していった橋本さんだったが定年退職後は、自身のお米栽培とPRに力を注いでいった。

 

出発点は「美味しいお米を食べたい」

 

コシヒカリは、旨み・粘り・香りすべてにおいてバランスがとてもい良いお米だ。橋本さんがお米づくりをしている田んぼは名張市神屋(かみや)という標高350~400メートルの棚田で、そのほとんどは親戚や高齢者の方から管理を託された田んぼ。「名張は栽培方法を工夫すれば、コシヒカリの特徴が最高に出る」と力説する。

橋本さんの栽培方法は「無理をさせずに、無理をせずに。」というもの。収穫量は求めず、稲の力を尊重し、生命継続の種子をつけるために、必要とする程度の材料を提供する。出来るだけ無理をさせず育ってもらうことで、より良い状態に育つのだという。

苗づくりから農薬の使用も必要最小限又は使用しないようにしており、食酢や木酢液、かきの殻、田んぼの微生物、塩の活用など多岐にわたる。また、ストレスではなく適度な刺激を与える栽培方法などの試行錯誤、実は美味しいお米を食べたいという自分や家族のために、もう三十年以上続けているという。

 

 

山間の田んぼ、収穫期を迎えた棚田

 

お米を通した御縁と、次の世代へ繋げたいという想い

「単純に、名張のコシヒカリの美味しさを知ってほしいんです。みんな知らないなんて悔しいでしょ‼」お米の美味しさを競う全国大会に出品し、これまでに2回上位入賞を果たしている。「いずれの大会も三重県初の受賞。名張のお米の美味しさレベルは高いので、どんどん挑戦してほしい、そのことで知名度アップにつながると思う」そう語る橋本さんは、農家では取得が少ない日本穀物検定協会の「お米アドバイザー」資格認定も受けている。

 

そして、自身が栽培したコシヒカリをお箸で摘まんだご飯が輝くほどおいしいというメッセージを込めて「箸ひかり」と名付け、妻が手掛ける「国津みそ」とともに、東京で開催されているマルシェ(農産物市場)には年に何度も出店し、PR活動に力を注いでいる。

食に関心のある人々が足を運ぶマルシェは、消費者と直接つながることのできるいい機会だ。橋本さんはブースをのぞく人たち1人1人に、お米のこと、栽培について丁寧に伝える。小さな子ども連れの方には「舌が敏感な小さい子には、おいしいものを食べさせてあげて。」と声をかけ、試食のおにぎりを食べてもらう。

 

「名張のお米の美味しさを知ってほしい。」純粋にその思いだけなのだ。出店で利益を生むことは無いが、こうして顔を合わせ、言葉を交わして橋本さんからお米を買った人たちとは、親戚のような気持ちでご縁をつないでいるという。出店時にはボランティアとしてお手伝いに来てくれる人も。中には、どんなところで栽培しているか興味が湧いて名張を訪れる方も何人もいるという。

「一人の活動でも、自分の米をキッカケに名張に興味を持ってくれる人たちが増えた。名張の魅力や資源にかかわるたくさんの方も、ひとつひとつのご縁づくりできれば、素晴らしい地域活性化につながるでしょう」

 

 

個々の輪が広がり、名張全体が活性していく。

次の世代には「コシヒカリといえば伊賀の名張!」そんな想いと夢を抱きながら橋本さんの挑戦は続いていく。

 

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