magazine 農

名張初・困難なスペルト小麦栽培への挑戦/発掘!隠(なばり)の名産品#4


うららかな春の日が続き、草木が芽吹く季節になりましたね。

名張市井手では市内初となるスペルト小麦栽培が昨秋から始まっています。11月に撒いた種はその後どう成長しているのでしょうか?

今回はスペルト小麦の生育状況をお伝えしていきます!

 

スペルト小麦とは?という人はこちらの記事をご参照くださいね。スペルト小麦の特徴、栽培を始めた経緯や11月の種まきの様子を紹介しています。

栄養豊富でおいしいと話題!スペルト小麦が名張で栽培/発掘!隠(なばり)の名産品#1

3月下旬、スペルト小麦畑の様子を撮影、さらに栽培の実作業を担う三重伊賀里山整備活用組合の山下さんに生育状況を聞いてきました!

■□■この記事のPoint■□■
・名張初・スペルト小麦の生育状況
・スペルト小麦栽培にチャレンジしている三重伊賀里山整備活用組合さんとは?

 

名張初のスペルト小麦、生育状況は?

では早速、11月に種まきしたスペルト小麦の成長を見ていきましょう。

あれ…
少しまばら?

実は、撒いた種の3~4分の1ぐらいしか育っていないそうです。全てが順調に生育していれば青々とした麦がもっと線状に密集するらしいのですが…

よく見ると小さくて茎の本数が少ないものも交じっています。

やはり初年度からそう上手くはいかないものですね…

 

なぜ順調に育っている麦の量が少ない?

組合と農協の人々が分析をした結果、原因は下記3点だそうです。
 ①発芽前の麦は水分に弱い
 ②種まきの数日後雨が降った
 ③土が細か過ぎた

②と③の条件がカントリーマアム現象を起こしてしまい、①の性質を持つ麦にダメージを与えてしまったようです。

…カントリーマアム現象??

これは山下さんが名付けた現象で、つまり表面カリカリ中しっとり状態のこと。

種まきの数日後雨が降り、その後日差しが強かったため、中の土は湿ったまま表面の土だけが乾いてしまいました。

さらに今回、日本での栽培実例や情報が少ない品種を育てるにあたり万全を期すため土が細かい農地を選び、その上種まき直前にトラクターでしっかり耕して土をふわふわにしました。

そのため表面にスキマがなく、土中の水分が蒸発していくのを妨げてしまったのです。

まさにカントリーマアム状態!

麦は全般湿気に弱く、発芽のときに土中の水分が多いと発芽不良になってしまいます。だから乾燥した気候のヨーロッパでの栽培が適しており、湿潤な日本では向いていないと言われているんですね。

日本でスペルト小麦の栽培は難しいと言われてきたことを痛感…

 

収穫はどうなる?いつ頃?

それでも撒いた種の3~4分の1はすくすくと育っています。

この様子だと5月中旬に穂が出始め、6月中には収穫できそうとのこと。

収穫後はまず来シーズン用の種子を確保して、その残りが製品材料として使えるそうです。

当初の予定より少ない収穫量となりそうですが、ひとまずは収穫が待ち遠しいですね。

耕作放棄地を活用/三重伊賀里山整備活用組合さんの取り組み

スペルト小麦栽培の作業を担っている三重伊賀里山整備活用組合さんは、高齢化などで作業できなくなった耕作放棄地を借りて整備・活用していくことを目的とした団体です。お米の栽培を中心とする他ベリーやいちじくも育て、昨年から麦の栽培も始めました。今回のスペルト小麦栽培ももちろん耕作放棄地を活用した取り組みです。

今回お話をしてくださった担当の山下さんは四日市出身。太陽の下で働きたいと思い名張に移住して農業に携わりました。どうしようもなく荒れ果てた土地を整備して立派な農地や水田に生まれ変わらせることにやりがいを感じているそうですよ。

 

以上、今回はスペルト小麦栽培の経過報告でした。
育っている麦たちが立派な穂を実らせることに期待です!

一覧へ戻る