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家庭の食卓と農業者を支える「イーナバリ株式会社」


 

私達が生きていく上で欠かせないのが「食べる」ということ。名張は自然派のお店も多く、消費者側も食に対する意識が高い。

豊かな自然に恵まれ、新鮮で美味しい農作物を豊富に食べる事ができる名張に、農業者の方々が抱えている問題に寄り添う「イーナバリ株式会社」の想いがあった。

 

規格外の作物、後継者不足、農業者の悩み

店頭に並んでいる野菜や果物はどれも色、形ともに美しい。

それらの作物と味や栄養価は同じ、とても美味しいものなのにそのままでは売ることができない作物がある。

規格外の作物だ。

そもそも規格外というのも「作られた価値観」に過ぎないのだが、消費者側が見た目の美しい作物を求めているのが現実だ。

かと言って、精魂込めて作った作物の値段を下げて売っても、利益は出せないうえに規格を満たした作物が売れなくなってしまう可能性も高くなってしまう。

こういった問題などから後継者不足にも悩み苦しんでいる農業者の方々を目の当たりにした杉岡雪子さんは、「6次産業を行う事が難しい農業者が多い中、消費者に届かず畑の肥やしになってしまう作物を少しでも減らしたい。」「加工品づくりによって農産物に付加価値をつけ、問題解決に役立ちたい。」という想いから、農産加工製造を請け負う「イーナバリ株式会社」を起ち上げたそうだ。

 

 

農業者を支え、安全で美味しい食品を家庭へ届けたい

現代では、様々な食品を手軽に入手し食べることができるが、その多くに食品添加物が含まれている。

例を出すと、市販品のケチャップやジャム等の一部に入っている増粘剤もその一つだが、これは煮詰めずとも簡単に粘りを出すことができるので、使用する作物は少なく済みコスト削減に繋がる。

しかし、「イーナバリ株式会社」が製造したケチャップには添加物は一切使われていない。

トマトを煮詰めるという昔ながらの製法で作られているので、トマトの分だけを単純に考えても約4倍のコストがかかってしまうのだが、市販のケチャップは嫌いな子どもがこのケチャップなら食べられると言うほど美味しい。

一般的にケチャップの原材料のトマトは、生産者からすれば二束三文にしかならないような安価で仕入れたものを使っているそうなのだが、「イーナバリ株式会社」では農業者の希望する価格と折り合いのつけられる値段で作物を仕入れている。

農業者にも収益を出してもらわなければ、農業を続けていくことはできないし、後継者も減る一方。

安心安全で美味しい作物をこれからも作り続けてもらうためには、農業収入の安定化が必要不可欠だという想いがあるからだ。

1次産業者や3次産業者と一緒に、農作物を日持ちのする製品に加工し、農産物をよりよく活かすことで、農業収入の安定化を図り、後継者不足の問題を解決。延いてはこれからの日本の農業者を支えていきたいと語ってくれた。

 

 

 

自社製品と受託製造(OEM)

 

「イーナバリ株式会社」では自社製品と受託製造(OEM)の製品を作っている。

自社製品は、おやつやデザートにオススメの「安納芋ババロア」、お肉やお魚にかけるだけで料理のレパートリーがぐんと増える「ソムリエソース(2種)」「ソムリエソルト(3種)」、お味噌汁やスープに入れるだけで野菜がたっぷり摂れる「乾燥やさいミックス」がある。

受託製造はお客さんに合わせて小ロットから、小回りの効いた臨機応変で柔軟な対応を心がけているそう。

大きな機械で多く作るという加工所が多い中、小規模農業者や個人の飲食店も注文しやすいように「イーナバリ株式会社」ではお試しで10個から製造してくれる。

他にも「この作物でこのような加工品を作りたい」というような具体的な要望にも、「この作物をなにか加工品にできないか」といった相談にも親身に応えてくれる。

 

大量生産・大量消費がスタンダードになっている今の世の中で、一つ一つの商品の背景を知ることは難しいかもしれない。

しかし、コスパの良いものだけを選ぶのではなく、本当に良いものを自分たちで見極め選んでいくことが、私達に必要なことなのではないかと思う。

 

Be イーナバリ株式会社

information

イーナバリ株式会社
〒518-0411三重県名張市滝之原1050番地
隠タカラモノ農産加工所内(旧滝之原小学校給食棟)
電話番号:0595-41-1505
https://enabari.world

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