世界中を旅して、目覚めた想い Be Happy!ちきゅう食
ちきゅう食を始めたのは、ベジタリアンを増やしたいという想いから。
それをどうやって知ってもらうかという時に、マクロビオティックや粗食というものを取り入れた方が、より皆にわかってもらいやすいと思い取り入れています。
世界中を旅して、目覚めた想いとは
日本のきれいでのどかな山郷の景色が広がる、名張市滝之原地区。
そんなたくさんの緑に囲まれた静かな農村で、椿原孝浩さんは育った。
きっかけとなったのは約10年前。世界各地を旅していた時にまでさかのぼる。
地球の大きさを肌で感じると同時に、家畜産業からなる環境破壊の現状を目の当たりにした。
人が家畜を通してゴミを作り出し、放棄して汚している・・・。
例えば、アンデス山脈へ行ったときのこと。
「バスに乗って観光地として着いたところはめっちゃきれいなんですが、そこに至るまでの道はビニールゴミ袋だらけ。そのまま放置されている。それを、この乾燥した砂漠みたいな山で、だれが分解するのか。」
地球がないと生きていけない私たちにとって、エコ活動などで“地球を守っている”のではなく、“地球に守られている”という本来の立ち位置に気付かされた。
大地の恵みを頂いていることへの 感謝と尊敬の念を取り戻す必要があると考え、まず個人で始められる取り組みとしてVegan(純菜食)にたどり着いたという。
肉の入っている食事よりも美味しいものを作る!
椿原さんが今まで旅して訪れた国は、30数か国におよぶ。
その一つ一つの旅で食べてきたものの多くが、スパイスやハーブを使った料理だった。日本のように液体調味料を使った料理は世界において少ない。
各国各地域で出会った食文化に、醤油や味噌といったものをミックスさせて“ちきゅう食”をつくれたら面白い。自分なりに少しずつアレンジを加えて出来上がったのが現在のオリジナル多国籍料理となった。
今では、ローフードのお店としても注目されるちきゅう食。
食肉はもちろんのこと、乳製品や卵など動物性食品は一切使っておらず、さらに原材料や産地のわかる食材でメニューを構成している。
自然豊かな滝之原の土で育つ米や有機野菜、自家栽培のハーブや飾り野菜など、確かなものだけを取り入れているのも魅力の一つ。土の恵みだけで作られたとは思えない深みのある味わいは菜食に限らず引き付けられる。
<人気のyogaカレープレート>
ちきゅう食の原点でもある旅の面白さ
旅は旅行と違い、自分で行先を決めて自由に行動できるが、全ての責任も自分にかかってくる。
知識・予算・言語力など、その時の最大限のステータスが旅のスタイルになっていく。
前回旅をした時よりも、更にたくさんの言葉を覚えて次の旅に出ると、以前よりコミュニケーションがとれるようになっていることを実感するという。
「要するに“成長”っていう段階を自分で確認できるのが旅やと思うんです。おもしろいですよ。」
2月には家族で、タイ、南インドのゴア、そしてオーロヴィルを周ってきた。
南インドの西海岸にあるビーチリゾート“ゴア”は、ミュージシャンやパフォーマーが世界中から集まるショービジネスが盛んなリゾート地。特に10月~3月のシーズン中は、毎日どこかで様々なパフォーマンスやライブがおこなわれている。
滞在期間中はショーの依頼や、知り合いのドイツ人ミュージシャンの新曲プロモーションビデオに、家族で出演するといった出来事も。(ジャングルの中で映画さながらの撮影。)
3週間ほどをゴアで過ごした後、次に向かった先は“オーロヴィル”。南インド・チェンナイの近くにある世界最大のエコヴィレッジである。
現在100か国から2500人(うち日本人14人)が集団で生活しているという独自のシステムを持つコミュニティー。
農業、道の整備、建築技術を活かした活動など、住民ひとりひとりが、自分たちが持っている得意分野で相互扶助を行いながら地域に貢献している。
ソーラーシステムや風力発電などのハイテク技術を取り入れつつ如何にローテクな生活をするかの融合点。
そういった現場を実際に見てみたいと思い、1週間ほど滞在してきたという。
「観光地を周ったりしても、結局、観光地であって、おもしろい人たちが集まっているところが一番おもしろい。クリエイティブな事をやっている人たちが集まる場所へ行くのが楽しい。」
<オーロヴィル>
僕の気づきなんですが、人間は喜怒哀楽なんです
いままで世界中の様々な人の思想や宗教観に触れてきた中で、人が心を動かされる“道理”に気付いたという。
「最初、自分が気づくわけでしょ。気づいた時は“喜び”。素晴らしいと気づいたことで誰かに言いたくなる。そして人に伝えてみるんです。
でも実際、本人以外の人が気づいていない状況だと「何言ってんねんこいつは」と伝わらない。それが“怒り”にかわる。
「なんであいつは分からへんねん!」と、怒ったエネルギーの分だけ疲れると“哀しみ”がやってくる。
そういう活動している人って、だいたい怒りか哀しみで終わっているのだけど、そこから「まぁええわ、おれ一人でも頑張ろう」と気持ちが変わった時にやっと“楽しく”なるんですよ。
楽しい時にしか人は気づいてくれない。
「あの人、なんで楽しそうなんやろ」と思うことで、初めて、話を聞きに行くんです。
その時に伝える。人は楽しいときにしか気づけない。
「喜怒哀楽の順番を分かっていたら、怒りと哀しみの時を自分でコントロールすれば、あとは、楽しみと喜びだけで生きていけるんです。」
Vegan(純菜食)のお店としての知名度の確立も、椿原さんが滝之原で手がける「たましいの里まつり」や、ちきゅう食店内で時折開催される様々なイベントも、同様にまずは自分たちが楽しむことで人々の心を動かしてきたに違いない。
大人になるって楽しい事、そんな姿を子供に見せられたら
椿原さんが次に行きたい旅先は、オーストラリアだという。
奥様と出会った地であるオーストラリアに、今度は家族と共に行き、原点に戻る旅を計画しているという。
「子供を連れて、もう一度、昔行ったキャンプ場や綺麗な景勝地を訪れたい。楽しいだろうな。」
「僕は子供には はやく大きくなって出て行ってもらいたいたいんです(笑)
親として勉強を教えたり、というのはできないけど、子供に経験を用意してあげることはできる。子供が家から出ていくまでは、それが自分の役目かなと。
それまでは全力で遊びたいなっていう・・・・いいのかなぁ(笑)」
一同、笑いに包まれながらも、椿原さんの話にすっかり感心させられていた。
「“大人になるって楽しい”ってことの方が大事。
大人になっても働かなあかんねや・・という暗い未来像しかなかったら子供だって頑張れないでしょ。」
言葉で言い聞かされることよりも、目で見て肌で感じることの方が吸収できると学んできた。
そんな自身の経験から、遊びも含めて、全力で挑んでいる姿を子供に見せるようにしているという。
地球を旅してたくさんの人と出会い、異文化を知り問題に直面してきた。
数々の発見が、椿原さんを突き動かす原動力となり、経験を通して気づいた想いを、ここ滝之原から発信している。
信念を貫くことも楽しみながら。
慎ましくもおおらかに、生き方と共に、子供たちに残していきたい未来を、これからも模索し続ける。
information
Be Happy!! ちきゅう食
〒518-0411 三重県名張市滝之原4171
電話番号:080-3068-6029
https://www.chikyushoku.com/
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