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好きを武器に。ひたむきに農業に向き合う。


 

伊賀市下神戸の田畑が広がる中に、大きなビニールハウスがいくつも立ち並ぶ。
夏の間、そのハウスでトマトを栽培しているのが「堀田農園」の堀田勝俊さんだ。

株式会社ヒラキファームの育苗ハウスの遊休期間を利用した事業として、2016年から始めたトマト栽培。
現在は大玉トマトからミニトマトまで8種類を生産している。

 

伊賀市内で行っているのは3件のみ。
甘い甘いトマトの栽培方法とは。

 

 

まだ収穫期だったハウスの中を覗いてみて驚いた。トマトの苗が長く列をなし、その高さは優に2mを超えている。
まさに、トマトの壁。そこに真っ赤に熟れた実がたくさんなっていて、まるで果樹から収穫するように手を上に伸ばして収穫していく。
苗が植わっている各ポットにはコードに繋がれた棒が刺さっており、それによって土の水分量を計測、コンピューターによって管理されている。その値と苗の状態を見ながら、堀田さんが経験に基づいて水分量を調整。すぐに変化してしまう水分量はこまめにチェックしないと、甘くておいしいトマトにはならないのだ。
堀田さんが手間隙かけて栽培したトマトは、フルーツのように甘く、ぎゅっと味がつまっている。地元のスーパーや直売所では「堀田農園」のラベルが貼られたトマトは早くに売り切れてしまうほど人気だという。

 

 

トマトのほかにも評判なのが、ブロッコリー。堀田さんがつくるブロッコリーは流通しているものに比べて、株が大きく立派なので地元消費者の支持を得ている。

 

若くして独立。学生時代から一筋に農業に励んできた。

今や、地元でも名前の知れた農家である堀田さんだが、独立して8年。これまで紆余曲折した時期もあったという。
彼が初めて農業を経験したのは中学3年生の時、学校のカリキュラムの一環としてだった。はじめは気乗りせず、嫌々やっていた畑作業だったが、やり始めるうちに楽しみを感じ、その作業が自分に合っていると思い始めたという。
その様子を見ていた恩師に農業の道を勧められ、高校と短期大学で農業を学んだ。
卒業後は独立を見据えていくつかの農家で経験を積んだのち、24歳の時に独立。上小波田にビニールハウスを建て、有機無農薬栽培でにんじんやキュウリを生産し始めた。
しかし、需要と供給が釣り合わなかったこともあり、方向転換。
‟楽しみながらやること“、‟後ろを振り向かないこと”、“何にでも挑戦すること”を胸に、その土地にあったもの、自分に合ったものを模索しながら3、4年の間は様々な野菜を栽培したという。そして、ようやく今の形にたどり着いたのだ。

 

 

人との繋がりが自分の成長につながった。

最初はマニュアル通りに栽培していたという堀田さん。しかし、続けていくうちに県内外問わず多くの農園の方々との出会いなどを通じ、いいところを吸収していい農園にしようと邁進している。
「人脈が育ててくれたと思います。」と言う彼は、人との出会い、周りの人の支えに感謝し、恩返しがしたいと話してくれた。
目下進行中なのが農福連携事業。「NPO法人えん」との共同で行っている事業だが、規模が大きくなっていけば、障がい者の方たちの独立の手助けになればと考えている。

 

 

好きだから一生懸命になれる。

トマト、ブロッコリーをはじめとし、ほうれん草の露地栽培を行い、2019年からはイチゴの栽培も始めるという堀田さん。
好きなものしか作らないという彼に「トマトの好きなところは?」と聞くと「まるくて、かわいいでしょ?」とはにかみながら答えてくれた。ブロッコリーはポコッと出てくるところがかわいいのだとか。
人との繋がりに感謝し、地元の人に貢献したいという気持ちをもって、ひたむきに農業に向き合う姿勢が、美味しい野菜をつくる秘訣なのかもしれない。

 

Be 堀田農園

information

堀田農園
名張市上小波田3356
IG : @horitano_en

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