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目指すのは人が集うワイナリー。「農家のワイン」を醸造する國津果實酒醸造所。


 

2018年、名張市唯一のワイナリーが誕生。廃校になった國津小学校の校舎を利用した「國津果實酒醸造所」だ。
この醸造所には多くの仲間が集い、個性の違う、様々なワインが生まれている。

名張発のワイナリー誕生

「國津果實酒醸造所」を運営している中子具紀さんがワイン造りを学んだ場所は、ワイン大国と言えるフランス。そしてスペイン。ぶどうの栽培から醸造に至るまでワイン造りのことを学んだ。


帰国後は滋賀県のワイナリーに就職。ワイン造りに勤しむ中で、次第に強くなってきたのが「ぶどう畑がやりたい。自分の育てたぶどうでワインを造りたい。」という思いだった。それを実現させるため、故郷の名張でぶどう作りを始める。

 


それから3年後、満を持して独立。ワイナリーのための物件を探しているときに、中子さんに声がかかった。廃校になった小学校に醸造所を開設し、町おこしの一環としてワイン造りをしないか。という話だ。当初の考えよりも規模が大きくなってしまう事もあり、二つ返事で引き受けることはできなかった。しかし熟考の末に承諾。
心が固まるまでに「町おこし」とは何だろう?と考えたという。そして「地域活性化のためには人が集まることが大切だ。」と気づき、ワインを造りたい人が自分のワインを醸造できる場所にしようと思い立った。

 

 

ここで造っているのは「農家のワイン」

 

「ワイナリーと聞くと、ワイングラス片手に。というおしゃれな雰囲気をイメージされるかもしれませんが、実際は雑務がほとんど…名張に来てからは畑一色の毎日です。」と話してくれたのは中子さんの奥様、野乃花さん。
京都出身で、以前は雑貨屋を営んでいた彼女にとって、畑や山は縁遠い生活だった。緑豊かな名張に越してきて2年、日々の畑作業からワインの醸造まで全面的にご主人をサポートしている。

 


そんな中子夫妻がワインを造るにあたって一番大事にしていることは、ぶどうの生産者を尊重するということ。だから、仕入れたぶどうで醸造したワインのラベルには、必ず生産者の名前を大きく明記している。これは、栽培の大変さを痛感している2人だからこその考えだろう。
彼ら自身のワインのラベルは、アクセサリーや絵を手掛ける作家でもある野乃花さんと具紀さんがデザインする。
そして、毎年違う絵が描かれその年のワインが完成するのだ。

 

 

 


また、ワインの醸造法にもこだわりが。足踏みなど昔ながらの方法を用いたり、野生酵母で発酵させたりと、ぶどうと畑の個性を邪魔しないようにしているという。

 

 


大切なぶどうを受け取って、ワインを造らせてもらっている。
という考えの中子夫妻が造っているのは「農家のワイン」である。

 

ワイナリーを拠点に仲間の輪を大きくしたい

開所して2年目。仲間の輪は徐々に広がり始めている。農園を営む人が自分で育てたぶどうでワインを造ったり、醸造家を目指す若者がワイン造りを学びに来たりと「ワイン」を軸に人が集まっているのだ。

 


中子さんは仕入れたぶどうも併せて、7つの銘柄を手掛けている。

今の課題は、地元名張でもっと仲間を増やすこと。幸いなことに、名張はぶどう栽培に適した自然条件がそろっているし、多くのぶどう畑がある。今はそのほとんどが生食用のぶどう畑だが、ワイン用のぶどう栽培をする仲間が増えてほしいと願っている。その中で、中子さんに賛同し、一緒に醸造所を引っ張っていけるパートナーが現れてくれればと期待している。
今は夫婦二人三脚だが、作家である奥様にもっと自分の時間が持てるようにという具紀さんの思いやりもあるのだろう。
同じ思いを持った人たちが集まることで「國津果實酒醸造所」からは様々な銘柄、たくさんの「農家のワイン」が生まれる。

 

 

人が集う「國津果實酒醸造所」を目指して

廃校をワイナリーに改装した際、校舎の2、3階も改修を行った。学校の面影を残した各教室は、貸しスペースとして利用できる。

 

調理ができる部屋もあるので、飲食店や食品の製造も可能だ。将来は、作家のアトリエやギャラリー、レストランなどが入った複合施設にしたいと夢は膨らむ。
「名張をもっとおもしろい場所にしたいんです。」と中子さん。廃校となってしまった学校が「國津果實酒醸造所」を皮切りに、新しく生まれ変わって多くの人でにぎわう日も近いだろう。

 

 

Be 國津果實酒醸造所

information

國津果實酒醸造所
名張市神屋1866
https://www.kunitsu-wine.com/
インスタグラム@tomoo_natural_poplife_

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